産後体型を戻す

女性の人生においてかなりの大仕事であり、一大事である「出産」。この生命の奇跡とも言える何事にも代えがたい感動や出会いは、簡単には経験できない、そして言葉では言い尽くせないほどの貴重な経験です。「もうこの人以上に私を愛してくれる人はいない」と思い「もうこの人以上に愛する人は現れない」と思った相手と結ばれて、命を育むことになりますよね。けれど、それを含む、今まで生きてきた中で培ってきた価値観がすべて変わるほどの存在なわけです。我が子ときたら、これほどいとおしい存在に出会ったことはなく、そしてこれほど自分を必要としてくれる存在との出会いを、多分ほとんどの人が初産を経て初体験するわけです。

ところが、出産を通じて経験するのは、感動的で素敵な初体験だけではありません。今まではあり得なかった「自分の思い通りにいかないもの」と向き合わなくてはならないことの連続なのです。それは子どもに関わることであったり、自分自身に関することであったり様々ですが、嬉しいことや楽しいことと同じくらい、苦しいことやうまくいかないことがたくさん起こります。おそらくほとんど、いや、すべての経産婦が直面する大問題、産後の体型の変化もその一つです。

人間は妊娠した瞬間からホルモンの働きで「太りやすい状態」になります。中には、特に妊娠初期などのつわりなどで体重が減る人もいますが、体自体は非妊娠時よりも脂肪がつきやすい状態になっています。なんせ出産というのは、自分の体の中で子孫を立派に育てて、排出するための大仕事です。母親の体は出産後まさに「抜け殻」状態になるといっても過言ではないほど、体力をはじめ、ありとあらゆるものを「もってかれた」状態になるのです。そのあと母親の命を繋ぐために必要となってくるエネルギーたるや、想像に固くないですね。現代ではたくさんの人に囲まれて、手助けされて、できうる限り安全な環境で、産後のケアも手厚い状態で出産できるのが当たり前ですが、本来の哺乳類として「子を産み落とし、その後育てる」ための母親の本能は、そんな事情を加味することなくエネルギー蓄積をモットーとして機能してくれます。特に妊娠後期あたりに、胎児があとは大きくなるだけでいいよ、と判断されるや否や、母親の体は出産のためのエネルギーを必死で溜め込んでいってくれます…頼んでもいないのに。昨今、産婦人科ではできるだけ体重を増やさないようにという指導が厳しいですが、その理由は産道に脂肪がつくと難産になる傾向があるというものです。「小さく生んで大きく育てる」とはよくいったものですね。うちの子たちはそれなりに大きく生まれましたけど…。

それこそ昔は「赤ちゃんの分までしっかり食べなさい」と言われた時代もあったでしょうが、食べ物を確保することが重要だった頃とは違い、この飽食の時代、昔とは「しっかり」の意味が違ってきます。大切なのは量より質をしっかり摂ることですね。妊娠中についた脂肪は産後に全部消えるわけではありませんので、産後の体型にももちろん影響を及ぼします。スタイルが気になる人は特に、妊娠中からの食事管理はとても大切です。ちなみに妊娠中の栄養は胎児にとって必要なものがどんどん胎児に回されますので、母親に必要な栄養を維持するためにも、バランスの良い食生活は重要です。そして、母親の体にとって胎児はある種の排泄物とも認識されますので、生物としての本能が、食事で体に入った毒素などを胎児に送って排出しようとします。その昔、堕胎のために水銀などを飲んだのは胎児に毒を送り命を絶つためです。そういう意味でも食べ物は質を意識して選ぶ必要があります。妊娠中の体重増加はBMIによって3段階に分けられていますが、臨月になると毎週というよりは毎日、ビックリするくらい体重が増えることもあるので気を付けなくてはいけません。むくみも出やすいせいか、水分をとっただけでも体重が増えるなんていう話もよく聞きます。出産で外に出るものの重さは胎児+陽水+胎盤+αで、大体8キロMAXなのだそうです。ちなみに私は上の子の時生んだ翌日に体重をはかったら12キロも減っており、助産師さんに驚かれました。今から考えると出産前にむくんでいて水分が出たとかもあったのかな??とも思いますが、真相は謎です。それより大変だったのは下の子の時「上の子の時に12キロ減ったから、同じくらいとはいかずともそれなりに減るだろう」と思っていたにも関わらず、産んだ翌日体重計に乗ったら、まさかの2キロ減。…おかしい、子どもは3キロ以上あったのに、完全に何か戻ってきとりますがな!!と一応自分にツッコミ入れときましたが 、しかし、いくらあり得なくても、信じられなくても脂肪がついているのは事実なんですよね。

先ほども挙げましたが、妊娠中についた脂肪は、出産時に使うエネルギー蓄積と、産後の母体回復と、子どもを育てるための体力や母乳を出すために蓄えられているものです。産んですぐはお腹もまだ出ているし、体は抜け殻状態です。実際に脂肪が活用されて減っていくには少し時間が必要です。しかも子どもを産んですぐは体力を回復させることだけで手一杯なので、運動どうこう食事どうこうなんてことまで意識できないのが普通です。でもそんななかで出産直後からできる体型ケアとして、骨盤ベルトをつけることが有効だと言われています。出産では骨盤が全開状態になります。骨盤は非妊娠時は、一日のうちでも日中は締まり、眠るときには緩んでいます。妊娠すると胎児が成長するにつれだんだんと骨盤は開いていきます。そして出産のその瞬間に胎児の頭が通ってMAXになるわけです。ちなみに帝王切開では開ききることこそありませんが、妊娠中に胎児がすっぽり入っている分だけ、当然ながらかなり広がっています。

骨盤がぱっかり開いた状態になると何が起こるか、それは妊娠前との体型の変化です。放っておいてもそのまま開きっぱなしではありませんが、多くの場合開閉がしやすくなることで、内臓の位置がずれたりすることもあるそうで、腰回りはもちろんのこと、下腹部や足、全体のバランスも変わってくるのです。骨盤をケアするためには物理的にベルトで閉めるのが一番ではありますが、実はインナーケアでも骨盤ケアができるのです。

これは生理痛の軽減にも通ずるところが大きいのですが、通常、骨盤の開閉は目に大きく関係しています。目が疲れると頭痛がしてくることがありますね。あれは姿勢が悪くて肩がこり、血行が悪くなっているからと思われていますが、実は目が疲れると後頭骨が開き始め、次に肩甲骨が開き、最終的に骨盤が開いていくそうなのです。つまり頭や目の使い過ぎで後頭骨が上手く開かなければ、開くために頭痛が起こり、緊張が首や肩に伝わって、肩甲骨が開く時に肩こりがおこり、更に緊張が骨盤まで伝わって、骨盤が開くという流れです。産後は目を使うなと教えられていますが、その理由はしっかりとした根拠のあるものだったのですね。したがって逆に言えば目のケアをしておくと骨盤がむやみに開いていくのを阻止することができると言えます。

ではどのようにすれば目をケアできるかというと、まずは目に必要な栄養素を多目に補うことです。目に必要な栄養素といえばブルーベリーなどに含まれるアントシアニンが思い浮かびますが、それに並んで注目される、目の中のほとんどの組織にあって抗酸化作用で目を守るルティンという成分があります。実はこのルティンは青汁の主力原材料であるケールに含まれています。また、青汁を飲むことで緑黄色野菜に豊富に含まれ、目の機能を維持するために必要なβカロテンやビタミンAが摂れるのをはじめ、ひいては目を休めるための、質の良い眠りを約束してくれる大事なホルモンであるメラトニンも確保できます。目をいたわることで骨盤ケアになるとは意外ですが、この方法はアプローチとしてはとても有効なのです。

もうひとつ、というよりはおそらくメインの体型戻しの手段は食生活のコントロールです。妊娠期についた脂肪をしっかり消費することと、産後の食事でこれ以上脂肪を増やさないようにすることですね。世の中には様々なダイエット食品が溢れていますが、基本的に体重を落とす絶対条件は「消費カロリー>摂取カロリー」です。生活のなかで消費するカロリーが食べるもののカロリーを上回っていれば、自ずと痩せていきます。しかし、ダイエット初心者にありがちな極端な話、こんにゃくばっかり食べる!!とか豆腐ばっかり食べる!!とかして、カロリーを減らせばそれで良いのかというと、そうではないのですよね。よく「バランスの良い食生活」が必要とされますが、それは何故なのでしょう。

人間の体は代謝を繰り返しながら、その生命活動を維持しています。すごく要約すると、体を作る材料にはたんぱく質とビタミン・ミネラルが必要不可欠で、体を作る作業にはエネルギーが必要です。そのエネルギーは車でいうところのガソリンのようなもので、体では主に糖質がそれに当たります。では糖質だけしかエネルギーにならないのかというとそうではなくて、糖質が一番材料にしやすいので優先して使われるというわけです。糖質がなくなれば脂質がエネルギーとして使われ始め、脂質がなくなればたんぱく質が使われ始めるというわけです。

この原理を絶対条件として、では体がどのようにしてエネルギーを蓄えるかというということを知ると、痩せるには食生活が大事という意味がわかります。もちろん一つのものだけを食べたり、極端に量が少ないというような食生活では、「ヤバい!!大事な栄養素が入ってこない!!次にそいつが入ってきたらいつも以上にがっつりため込んでやるぜ!!」という、飢餓状態に陥りますし、そういった偏った食生活の後の、人間の生きるためのエネルギー吸収力は恐ろしいもので、リバウンドの原因となるということは大前提として話を進めます。

食物の三大栄養素には、ごはんやパンなどの「炭水化物」と、肉や魚などの「たんぱく質」と、脂身やバターや油などの「脂質」がありますね。

炭水化物をもぐもぐと食べると、体のなかでブドウ糖ができます。実は炭水化物というのは糖質と食物繊維が合体したものの総称なのです。このブドウ糖というのは脳が動くための唯一のエネルギー源になります。そして体の中で糖が過剰になると、体は「もし、糖がなくなった時のために置いておこう!!」として、貯めておけるかたちの「脂肪」に変化させるのです。

次に脂質ですが、これは単純にいうと、油ですので食べるとそのまま脂肪になります。ただ、ここで大切なのは、体温を調整したり、内臓を活動させたり、脳を動かしたり、といった生きていくための基礎代謝のなかでも、脳以外の活動おいてのほとんどのエネルギー源として脂質が使われているということです。基礎代謝は、性別・年齢・体重などによって違うものの、大脳の消費量は基礎代謝の30%程度ですので、残り70%のエネルギー源が体の中にある中性脂肪になっているということです。もちろん基礎代謝以外の「運動」で使われるエネルギーにもなります。ちなみに激しい高度な運動では糖質が優先されて使われますが、ゆったりとした低度の運動では脂肪が優先されて使われます。また、脂質そのものも、ホルモンバランスを整えたり、ビタミンの吸収を助けたり、脳細胞の神経組織の材料として利用されたり、他にも体の中で非常に重要な役割を持っています。そして脂肪にも種類があって、絶対に必要な脂肪や、食べ物からしか摂れない脂肪や、脂肪の燃焼に必要な脂肪や、食べ過ぎるとよろしくない脂肪があり、体を動かす上でなくてはならない存在なのです。

次にたんぱく質ですが、こちらはもぐもぐと食べると、体の中でアミノ酸に分解されます。たんぱく質というのは無限に種類があるのですが、実はその全ては20種類のアミノ酸が組み合わされてできているものです。人間の体のおよそ70%が水でできていますが、残りの20%がたんぱく質でできています。つまり水分以外で考えると半分以上がたんぱく質で作られているというわけです。具体的にはそのアミノ酸の組み合わせによって、筋肉・皮膚・血液・骨・酵素・髪の毛・神経伝達物質などが作られていて、人間の体に不可欠な栄養素なのですね。たんぱく質には動物性のものと植物性のものがあり、たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、体内で作ることのできない9種類のアミノ酸は必須アミノ酸と呼ばれ、食事として体外から摂取する必要があります。このアミノ酸は体の中に貯めておくことができず、不足すると疲労感を感じやすくなる・免疫力の低下・肌荒れなど、体のさまざまな機能が悪くなる原因となります。過剰になるとそのまま尿と一緒に排出されますが、排出するためには腎臓に負担がかかるので、その時状態が続くと腎機能に異常を起こすともいわれています。

さて、この三大栄養素を食べると、このように体の中で分解されて吸収されます。そしてそれぞれが、優先順位をもって代謝に関わりながら使われ、排出されていくのです。体型をコントロールするための絶対的な条件として、摂取カロリーと消費カロリーを調整する必要があるのはこういう理由からです。摂取カロリーは食べ物の種類や量を考えることでコントロールし、消費カロリーは代謝を考えることでコントロールします。

代謝をコントロールするには運動量が大きな要因ですが、食べ物を選ぶことでも若干ながらコントロールができます。例えば食事の最初に食物繊維を食べると、その後に食べる炭水化物や脂質の吸収が抑制されます。これはどういうことかというと、炭水化物は食べると体の中でブドウ糖に変わり、血液中にブドウ糖が溢れかえります。するとインシュリンというホルモンが出てきて、ブドウ糖を血液中から取り除く、すなわち細胞の中に取り込むように指令を出します。この指令が出ると、まずは肝細胞がブドウ糖をグリコーゲンに変えて蓄えます。次に筋肉細胞がブドウ糖をグリコーゲンに変え、自ら使用する食糧として蓄えます。しかし、これらの収納スペースは限られているので、残りのブドウ糖は際限のない収納スペースをもつ脂肪細胞が脂肪に変えて溜めこみます。こうして血液中に溢れたブドウ糖はなくなっていき、血糖値が下げられるのです。このインシュリンというのは、血液中に存在する糖分が急激に増えれば増えるほど…すなわち血糖値が急激に上がれば上がるほど、ドバッと出てきてます。インシュリンが多ければ、体は大量に糖分を吸収して脂肪に変えようとしますので、できるだけ血糖値を緩やかに上げていくことができれば、インシュリンの分泌を少なくし、入ってきたものを溜め込むことなくグリコーゲンの状態で次々に使っていくことで、脂肪に変えられてしまう糖分を減らすことができるのです。

次に脂肪ですが、脂肪は大体が中性脂肪・コレステロール・脂肪酸などからできています。これをモグモグと食べるのです。脂肪は水に溶けないので、膵臓から出るリパーゼという酵素によって分解され、更に胆汁酸によって水に溶けるかたちに変化させられて、ようやく吸収されます。食物繊維は腸の中で胆汁酸を吸着します。するとそこで胆汁酸が使われてしまうので、脂肪を分解するために必要な分が足りなくなり、肝臓は更に胆汁酸を作るために、血中にあるコレステロールを消費します。腸の中に食物繊維がたくさんあると血液中のコレステロール値が下がるのはこういうわけです。また、食物繊維は体内の中性脂肪を吸収するので、そのまま便として排出してくれる効果も期待できます。

例えば食物繊維を食事と一緒に、もしくは食事の前半に摂取すると、こういう働きによって吸収が「抑えられる」かたちになるのです。「食べ物で代謝UP」などいうのは、代謝にわざと手間をかけたり、時間をかけたりすることで代謝量を増やそうということに重点をおいた方法なのですね。運動するときに使うエネルギー源として、糖分がなければ脂肪分が、脂肪分がなければタンパク質がエネルギー源になっていくことを考えると、常に代謝の良い状態保つことが体型を維持するのに大切なことがわかります。

代謝に関わるものには食物繊維・ビタミン・ミネラル・酵素などがあります。これらを食事によって効率よく多目に摂ることができれば食べ物で代謝を上げることができるのです。食物繊維・ビタミン・ミネラルは言わずと知れた野菜類を食べることによって効率よく摂れる成分ですが、毎食相当の量を食事前半に食べるのは、慣れない子育て中には難しかったりもします。なんせ、赤ちゃんに振り回されて、座って食事することさえままならないことだってあります。自炊する上で3食すべてにこれらの食材のバランスを整えることは努力に努力を重ねれば可能ではありますが、できれば負担のない形で食事を管理したいですよね。

また、酵素はグリーンスムージーのブームでもメジャーなものになりましたが、加熱によって失われるものも多いことも知られています。特殊な加工で酵素を残したままのものもあるので、青汁は水に溶かすだけで、手軽に摂れる緑黄色野菜という意味でも注目され、赤ちゃん以外のことに時間をかけられないことの多い産後の食生活のバランスを整えるためには、かなり便利なアイテムなので是非利用したいですね。しかも承知の通り食物繊維は腸内環境を整えて、デトックスにも一役買ってくれますし、水などに溶かして飲むタイプの青汁なら、水分摂取量も増えて、体が潤うだけではなく、食事量自体も抑えることができます。もちろん出産後だけでなく、妊娠中の食事管理にもとても便利ですし、妊娠中の体重管理が産後の体型戻しにも大きく影響することは前述しました。

特に産後の体型戻しは、時間面や体力面で、慣れない生活の中で行う必然性があるので、負担が増えてストレスがかかってしまっては元も子もありません。薬や偏った食生活で、自分だけどうにかなっても、赤ちゃんと共に健康で幸せな毎日が送れなくては意味がありませんよね。身近で安全なものを効果的に生活の中に取り入れて、快適に楽しみながら取り組めると良いですね。

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